ヒーター & エアコンディショナーシステム 構造と作動

概 要

冷 媒

センタークラスターモジュール

全車にセンタークラスターモジュールと一体のヒーターコントロールパネルを採用し,見切り線のない見栄えの優れたものとしました。

構 造

  1. スイッチ類
    1. マニュアルエアコンディショナー装着車に温度設定・ブロワー風量切り替え・モード切り替えをダイヤル式とした3連ダイヤル式ヒーターコントロールを採用し,操作性の優れたものとしました。
    2. なお,ホットガスヒーターの作動は,低外気温,低水温,ブロワースイッチONかつ温度設定ダイヤルがMAXHOT状態において作動します。

エアコンユニット & エアダクト

1ND-TVエンジン搭載車

構造と作動

  1. 構 造
    1. クーラー運転時と同様のシステムを利用しています。通常のクーラー運転時では,コンプレッサーで圧縮された冷媒はコンデンサーで冷やされエバポレーターへと送られますが,ホットガス式パワーヒーター運転時には,コンデンサーに取り付けられた電磁弁によって冷媒の流路が切り替えられ,コンデンサーを介することなくエバポレーターへと送られます。

  2. ホットガスヒーター作動領域
    1. ブロワースイッチON,低外気温,低エンジン冷却水温および温度設定ダイヤルがMAXHOT状態で作動します。
    2. ホットガスヒーターはクーラーとシステムを共用しているため,冬場にA/CスイッチをONにした状態ではホットガスヒーターの作動領域が減少します。

エアコンユニット構成部品

  1. エバポレーター
  2. MSエバポレーターは,タンク,チューブ,クーリングファンから構成されており,チューブはプレートとプレートとの間にインナーフィンを挿入し,ロー付けを施しています。これにより,微細流露を形成し伝熱性能に優れたものとするとともに,薄幅化をはかりました。また,エバポレーター本体に防菌剤を添加した樹脂をコーティングすることにより,異臭の原因となる雑菌の繁殖の抑制をはかりました。

  3. ヒーターコア
    1. SFAヒーターコア
      1. 標準仕様車に,SFAヒーターコアを採用しました。
      2. SFAヒーターコアは,チューブ,フィン,キャプセルから構成されており,チューブを扁平化することにより伝熱性能を向上させ暖房性能を優れたものとするとともに,小型・軽量化をはかりました。また,アルミ合金製とすることにより,環境への配慮を行いました。
    2. PSヒーターコア
      1. 寒冷地仕様車に,ヒーターコアにPTCヒーターコアを一体化したPSヒーターコアを採用しました。
        1. 構 造
          1. PTC素子を利用したPTCヒーターをヒーターコアのチューブに組み込み,上下を電極で挟み通電することにより周囲のフィンを加熱し,通過する冷風を温めています。また,PTCヒーターをUプレートおよび絶縁フィルムで覆うことにより,エバポレーターからの水滴や霜入りを防ぎ,漏電を防止しています。なお,PTCヒーターはヒーターコア内に2本(PTCヒーター1,PTCヒーター2)組み込まれており,各種条件によって通電本数を増減させています。
    3. 別体PTCヒーターコア
      1. 寒冷地仕様車に,PSヒーターコアと同時に別体式のPTCヒーターコア(PTCヒーター1)を採用し,エンジン冷間時の暖房性能を確保しました。

  4. ブロワーレジスター
  5. ブロワーモーターのスピードを切り替える抵抗器で,薄型のプレートタイプを採用するとともに,内部に温度ヒューズ(221℃で溶断)を設けました。なお,取り付け位置はブロワーユニット下部としました。

高圧アキュームレーター用コンデンサー

  1. 概 要
    1. ホットガスヒーター装着車に,高圧アキュームレータ用コンデンサーを採用しました。
    2. アキュームレータタンクをコンデンサーと一体化させることで小型化を実現し,優れた搭載性を実現しています。
    3. 電磁弁を設定し,ホットガスヒーター運転時と通常のクーラ運転時における冷媒の流路の切り替えを行っています。

  2. 高圧アキュームレータサイクル
    1. アキュームレータタンクに,コンデンサーで凝縮した液冷媒の一部と,コンプレッサーの吐出ガスの一部を導入することによって,吐出ガス温度をフィードバックし,サイクルを流れる冷媒流量を制御しています。
    2. 吐出温度が高いときは,アキュームレータタンク内の液冷媒はサイクルへ流れだし,冷媒の流量を増加させます。また,吐出温度が低い時には,タンク内に液冷媒を留めることにより省エネルギーを実現しています。

  3. 冷媒ガス充填
    1. A領域にいる場合は,冷媒缶(100g缶,200g缶)を使って追加充填することも可能です。追加充填の際は,低圧がB領域に入るまで充填してください。また,充填の際にオーバーチャージしないよう注意してください。

コンプレッサー

  1. 概 要
    1. SCSA06型スクロールコンプレッサーを採用しました。また,アルミハウジング部品剛性の最適化によるハウジング部の薄肉化や,シャフト仕様の最適化による全長縮小により,小型・軽量化を実現しました。

  2. 構 造
    1. 渦巻き型の固定スクロールと,固定スクロールと同形状の可動スクロールで構成されています。固定スクロールはハウジングと一体となっており,可動スクロールがシャフトの回転によって同じ姿勢を保ちながら公転します。これにより両スクロールで仕切られる空間の容積が変化し,冷媒ガスの吸入・圧縮・吐出を行います。なお,可動スクロールは後部に取り付けられたピンによって自転を防がれ,公転のみを行います。

電動ファン

  1. 概 要
    1. ラジエーター電動ファンとの組み合わせで,冷媒能力およびエンジン冷却水温による3段階制御(停止・低速回転・高速回転)を採用しました。

  2. 電動ファンシステム
    1. 電動ファン3段階制御
    2. 電動ファン制御圧力センサーの検出によるON/OFF信号およびエンジン制御用水温センサーの検出によるON/OFF(高温/低温)信号にしたがって,下記の条件で電動ファンの回転数を制御します。
    3. 電動ファン制御条件
      A/Cスイッチ
      圧力センサー
      水温
      電動ファン
      OFF
      低 圧
      低
      OFF
      高
      HI
      ON
      低 圧
      低
      LO
      高
      HI
      高 圧
      低
      HI
      高
      HI

センサー類

  1. エバポレーター後センサー
    1. エアコンユニット内のエバポレーター通過直後の冷気温度を抵抗変化として感知し,エンジンコントロールコンピューターまたはホットガスアンプリファイヤーに出力します。取り付け位置は,ブロワーユニット内のエバポレーター後部としました。

  2. 水温センサー
    1. ヒーターコアに接触させる構造としました。ヒーターコア内の冷却水温度を抵抗変化として検知し,ホットガスアンプリファイヤーに出力します。取り付け位置はヒーターユニット上部としました。

  3. 外気センサー
    1. 外気温度をサーミスターの抵抗変化として感知し,ホットガスアンプリファイヤーに出力します。取り付け位置はコンデンサー下部としました。

  4. 圧力センサー
    1. 圧力センサーの信号は,コンプレッサーの制御と電動ファンの制御に利用します。取り付け位置は,ラジエーター右側の高圧パイプとしました。
    2. コンプレッサーから吐出された冷媒の圧力変化を感知し,ホットガスアンプリファイヤーに出力します。

エアコン制御システム

  1. 概 要
    1. ホットガス式パワーヒーター制御用に専用のアンプリファイヤーを設定し,ブロワーユニット上面に取り付けました。

内外気2層制御アンプリファイヤー(寒冷地仕様車のみ)

  1. 概 要
    1. 寒冷地仕様車に内外気切り替え用サーボモーターを採用し,ブロワーユニット側面に取り付けました。
    2. 内外気2層式ヒーター制御用のアンプリファイヤーを採用し,ヒーターユニット上部に取り付けました。また,PTCヒーター制御も行っています。

  2. 内外気2層制御
    1. ブロワー ON,吸い込み口モードがFRESH,吹き出し口モードがFOOTまたはFOOT/DEFで,エアミックスダンパーがMAX HOTの位置にある場合,内外気2層式ヒーター制御アンプリファイヤーは内外気2層モードと判定し,内外気切り替え用サーボモーターを内外気2層式位置まで回転させます。

  3. PTCヒーター制御
    1. ブロワースイッチONで,エンジン冷却水温が低く(70℃以下),エアミックスダンパーの開度がMAXHOT位置にある場合に,以下の制御に従ってPTCヒーターのON/OFFを決定します。
      1. エンジン回転数制御
        1. ブロワースイッチONでエアミックスダンパーの開度がMAXHOT位置にある場合,エンジン冷却水が一定の値(70℃)になるまでアイドルアップ(1200r/min)を行います。アイドルアップ時および走行時等エンジン回転が高い時にPTCヒーター1(一体式および別体式)をONし,走行時等エンジン回転が高い時にPTCヒーター2(一体式)をONします。
        2. PTCヒーター1
          エンジン回転数
          PTCヒーター1の状態
          1200r/min以上が5秒以上継続した場合
          PTCヒーター ON
          1200r/min以上が5秒以上継続しない場合
          PTCヒーター OFF
          PTCヒーター2
          エンジン回転数
          PTCヒーター2の状態
          1250r/min以上が5秒以上継続した場合
          PTCヒーター ON
          1250r/min以上が5秒以上継続しない場合
          PTCヒーター OFF
      2. 充放電制御
        1. オルタネーターの発電量によりPTCヒーターをON/OFFします。
      3. PTCヒーターのON/OFF制御
        1. 内外気2層・PTC制御アンプリファイヤーは,上記のエンジン回転数制御および充放電制御で決定されたPTCヒーターのON/OFFにより,以下のようにPTCヒーターを制御します。
        2. PTCヒーターのON/OFF制御
          エンジン回転数によるON/OFF
          充放電によるON/OFF
          PTCヒーター制御
          PTCヒーターOFF
          PTCヒーターOFF
          OFF
          PTCヒーターON
          OFF
          PTCヒーターON
          PTCヒーターOFF
          OFF
          PTCヒーターON
          ON

防曇制御

  1. 概 要
    1. クーラーからすぐにホットガスヒーターに切り替えた場合,エバポレーターに凝縮した水分が蒸発することによるフロントガラスの曇りを防止しています。
    2. エバポレーターに付着凝縮水が存在する場合,外気温と水温の条件により推定されるガラス温度と目標エバポレーター吹出温とを比較し,常にエバポレーター吹出温度≦ガラス温度になるように制御することでフロントガラスの曇りを防止しています。

1NZ-FE,2NZ-FEエンジン搭載車

ヒーターユニット構成部品

  1. エバポレーター
  2. 1ND-TVエンジン搭載車と同様のMSエバポレーターを採用しました。

  3. ヒーターコア
    1. 1ND-TVエンジン搭載車の標準仕様車と同様のSFAヒーターコアを採用しました。

  4. ブロワーレジスター
  5. 1ND-TVエンジン搭載車と同様のブロワーレジスターを採用しました。

コンデンサー

  1. 概 要
    1. マルチフローコンデンサーと気液分離器(モジュレーター)を一体化したサブクールコンデンサーを採用することにより,優れた熱交換効率を確保しました。

  2. 構 造
  3. 一般的なレシーバーサイクル(コンデンサー+レシーバー)では,コンデンサーで凝縮後の気液2層冷媒をレシーバーにて気液分離し,液のみをエバポレーターに送っていました。サブクールコンデンサーは,1つのコンデンサーの中を凝縮部と過冷却部とに分けて,その間に気液分離器を配置することにより,一度気液分離した液冷媒を更に冷やすことで液冷媒自体のエネルギー(エルタンピ)を増幅させ,冷房性能の高効率化をはかりました。

  4. サブクールサイクルでの冷媒ガス充填上の注意

コンプレッサー

  1. 概 要
    1. マニュアルトランスミッション車に,1ND-TVエンジン搭載車と同様のSCSA06型スクロールコンプレッサーを採用しました。
    2. オートマチックトランスミッション車に,5SE09型可変コンプレッサーを採用しました。

  2. 5SE09型可変コンプレッサー
    1. シャフトが回転すると,シャフトに直結されているラグプレートを介して斜板が一体で回転します。この斜板の回転運動をシューを介してピストンのシリンダー内での往復運動に替え,冷媒の吸入・圧縮・吐出を行います。容量の可変制御は,斜板室内の内圧を制御し,この圧力変化で斜板の傾き角度を変えてピストンストロークを変化させ,吐出容量を制御しています。制御方法は,アクセル開度と車速の条件によるエンジンコンピューターからの信号で行い,斜板室内圧力を無段階に変化させることによって吐出容量制御幅を広くし,快適性の向上および省動力化をはかっています。

電動ファン

  1. 概 要
    1. 1ND-TVエンジン搭載車と同様,ラジエーター電動ファンとの組み合わせで,冷媒能力およびエンジン冷却水温による3段階制御(停止・低速回転・高速回転)を採用しました。

  2. 作 動
    1. 電動ファン3段階制御
    2. 電動ファン制御圧力スイッチ(中圧カット用)の検出によるON/OFF信号およびエンジン制御用水温センサーの検出によるON/OFF(高温/低温)信号にしたがって,下記の条件で電動ファンの回転数を制御します。
    3. 電動ファン制御条件
      A/Cスイッチ
      圧力スイッチ
      水 温
      電動ファン
      OFF
      OFF
      低
      OFF
      高
      HI
      ON
      OFF
      低
      LO
      高
      HI
      ON
      低
      HI
      高
      HI

センサー類

  1. エバポレーター後センサー
    1. 1ND-TVエンジン搭載車と同様,ブロワーユニット内のエバポレーター後部に設定し,エアコンユニット内のエバポレーター通過直後の冷気温度を抵抗変化をエンジンコントロールコンピューターに出力します。

  2. 圧力スイッチ
    1. コンプレッサーを制御するデュアル圧力スイッチと,電動ファンを制御する圧力スイッチを一体化したトリプル圧力スイッチを採用しました。取り付け位置はラジエーター左側の高圧パイプとしました。

エアコン制御システム

  1. 概 要
    1. 通常のマニュアルエアコン装着車は,エンジンコントロールコンピューターによるエアコン制御を採用しました。

内外気2層制御アンプリファイヤー(寒冷地仕様車のみ)

  1. 概 要
    1. 寒冷地仕様車には内外気2層制御アンプリファイヤーを設定しました。