フューエルシステム(1ND−TV) 構造と作動

フューエル全般

構造と作動

  1. コモンレール式燃料噴射システム
    1. コモンレール式燃料噴射システムは,ポンプで作られた高圧燃料をコモンレールに蓄えることにより,エンジン回転数や負荷に影響されず,低速時などでも常に安定した噴射圧力を確保することができます。
    2. サプライポンプより供給された高圧燃料をコモンレールに蓄え,電磁式インジェクターにより噴射します。
    3. 電磁弁により燃料通路を開閉する電磁式インジェクターを使用するため,燃料噴射量および噴射時期をエンジンコントロールコンピューターで精密に制御することができます。これにより,ディーゼルエンジン特有の黒煙の発生が抑えられます。
    4. 燃料噴射を2段階に分割し,メイン噴射の前に補助的なパイロット噴射を行うことにより,メインの燃焼を緩やかに開始させ,NOxおよび振動・騒音の低減をはかりました。
    5. 構成部品
      コモンレール
      サプライポンプからの高圧燃料を蓄積します。
      サプライポンプ
      カムシャフトによって駆動され,コモンレールに高圧燃料を圧送します。
      インジェクター
      エンジンコントロールコンピューターからの信号を基に,燃焼室内に燃料を噴射します。
      レール圧センサー
      コモンレール内の圧力を検出し,エンジンコントロールコンピューターに出力します。
      プレッシャーレギュレーターバルブ
      エンジンコントロールコンピューターからの信号を基に,コモンレール内の圧力を制御します。また,インジェクターおよびサプライポンプからのリターン流路にオリフィスを設け,燃料の脈動を抑えています。
      吸入調量弁(MPROP)
      エンジンコントロールコンピューターからの信号を基に,コモンレールに圧送する燃料を調量し,コモンレール内の圧力を制御します。

コモンレール

作 動

  1. プレッシャーレギュレーターバルブ
    1. イグニッションスイッチがONすると,エンジンコントロールコンピューターからの信号によりソレノイドコイルがアーマチュアを吸引し,バルブ通路を閉じます。
    2. レール圧センサーからの信号によりコモンレール内の燃料圧力が規定値以上に上昇しそうになったとエンジンコントロールコンピューターが判断した場合,ソレノイドコイルへの通電を制御しバルブ通路を開いて燃料圧力を下げ,規定値に保ちます。
    3. イグニッションスイッチがOFFするとソレノイドコイルへの通電が遮断され,燃料圧力によってバルブ通路は開かれます。燃料圧力がスプリング力より低くなると,バルブ通路はスプリング力によって閉ざされます。

サプライポンプ

構造と作動

  1. 構 造
    1. ポンプボデーは,エキセントリックシャフト状のインナーカム,アウターカムおよびプランジャーにより構成されています。
    2. ポンプの駆動力は,カムシャフト後端からオルダムカップリングを介してインナーカムに伝えられます。
    3. アウターカムの外側には,3個のプランジャーが放射状に配置されており,アウターカムによって押し上げられた時に圧送行程となり,アウターカム通過後スプリングによって戻された時に吸入行程になる構造となっています。また,3個のプランジャーによって吸入および圧送をおこなうことで,インナーカムのドライブトルクの変動を低減して,燃料供給の安定化をはかりました。
    4. レギュレーターバルブにより,吸入調量弁入り口の燃料圧力の調整を行っています。
    5. ポンプボデー仕様
      最大吐出圧[MPa]
      160
      最大吐出量[mm3](1プランジャーあたり)
      225.6
      1. 吸入調量弁(MPROP)
        1. エンジンコントロールコンピューターからの信号によってソレノイドバルブの開度を調整し,フィードポンプとプランジャー間の燃料流路を制御して,燃料の流量を調整します。
      2. フィードポンプ
        1. ギヤ式のポンプによってポンプボデーのプランジャーへ燃料を圧送します。
        2. 仕 様
          最大吐出量[L/h]
          150

  2. 作 動
    1. サプライポンプ
      1. エキセントリックシャフト状のインナーカムが回転することによって,アウターカムがプランジャーAを押し上げ,プランジャー内部の燃料をコモンレールに圧送します。プランジャーAが圧送行程終了に近づくと,プランジャーBは燃料の圧送を開始します。それと同時にプランジャーCはリターンスプリングの反力によって押し戻され,プランジャー内部に燃料を吸入します。
      2. 3つのプランジャーが順番にこの行程を繰り返すことにより,常に安定した燃料を圧送することができます。
      3. エンジン状態をもとにコモンレールの目標圧力を算出し,レール圧センサーの出力が目標値となるように,吸入調量弁に信号を送り,プランジャーに吸入する燃料の量を制御します。
      4. 吸入調量弁
      1. 吸入調量弁開度小
        1. 吸入調量弁の開度が小さくなると,燃料吸入通路が狭まり燃料が流れにくくなります。
        2. プランジャーストロークが最大位置に達しても,燃料吸入通路が制限されているため,プランジャーによって吸入される燃料の量は制限されます。(図中B)
        3. カムによってプランジャーが押し上げられ,燃料吐出圧がコモンレール内の燃圧よりも高くなったとき燃料が吐出されます。(図中C)
      2. 吸入調量弁開度大
        1. 吸入調量弁の開度が大きくなると,燃料吸入通路が大きくなり燃料が流れやすくなります。 
        2. プランジャーストロークが最大位置に達した時,燃料吸入通路が制限されていないため,プランジャー内に十分な燃料が吸入されます。(図中B)
        3. カムによってプランジャーが押し上げられ,燃料吐出圧がコモンレール内の燃圧よりも高くなったとき燃料が吐出されます。(図中C)

フューエルインジェクター

構造と作動

  1. 構 造
    1. インジェクターは,ノズルニードル,ノズルニードルを制御するコマンドピストン,流入・流出オリフィスを有するコマンド室および制御室内への燃料の流入・流出をON・OFF制御する電磁弁により構成されています。
    2. 電磁弁は,エンジンコントロールコンピューターからのON・OFF信号により開閉し,コマンド室内への燃料の流入・流出を制御します。
    3. コマンド室は,流入および流出のオリフィスを備えており,コマンド室に流入する燃料の圧力によりコマンドピストンを下側に押し下げます。
    4. コマンドピストンは,ノズルニードルと連動しており,コマンドピストンの上下によりノズルニードルの開閉を行います。
    5. フューエルインジェクターを噴射量ごとに3クラスに分け,組み付けられたフューエルインジェクターのクラスをエンジンコントロールコンピューターに記憶させることにより,噴射量のばらつきを抑制しています。また,識別記号をフューエルインジェクターの上部に記載しました。

  2. 作 動
    1. 非噴射時
      1. ソレノイドコイルに通電が行われていない状態では,アウターバルブはスプリング力により下方に押し付けられ,コマンド室の流出オリフィスが閉じられるため,高圧燃料がコマンド室内のコマンドピストンを下方に押すことになり,ノズルニードルが閉じられ,噴射は行われません。
    2. 噴射時
      1. ソレノイドコイルに通電が開始されると,アウターバルブは引き上げられ,コマンド室の流出オリフィスが開きコマンド室内の燃料が流出します。燃料が流出するとコマンド室の圧力が低下するため,コマンドピストンおよびそれに連動したノズルニードルが上昇し,噴射が開始されます。
      2. さらに通電を続けると,ノズルニードルはフルリフトに達し最大噴射率の状態になります。電磁弁への通電を止めるとアウターバルブは再び下降し,ノズルニードルは急激に閉じられます。
      3. 従って,2回通電を繰り返すことによりパイロット噴射も可能となり,多段噴射特性も得られます。

フューエルフィルター