エンジンコントロールシステム(1ND−TV) 構造と作動

エンジンコントロールシステム全般

制御一覧
制御名
機 能
燃料噴射時期制御
エンジンの状態に応じて算出した基本噴射時間に,各センサーの信号による補正を加え,インジェクターの燃料噴射時期を制御します。
燃料噴射量制御
エンジンの状態に応じて算出した基本噴射時間に,各センサーの信号による補正を加え,インジェクターの燃料噴射量を制御します。
パイロット噴射制御
メイン噴射の前に補助的に噴射を行い,メインの燃焼を穏やかに開始させ,NOxおよび振動・騒音を低減します。
コモンレール圧力制御
エンジン状態に応じて吸入調量弁(MPROP)とプレッシャーレギュレーターバルブ(DRVP2)に通電し,エンジン状態に応じた最適なコモンレール圧力に制御します。
ISC制御
エンジンの状態およびエアコン,各種ヒーター,電気負荷信号などの外部スイッチ入力に応じて,最適なアイドル回転速度に制御します。
吸気絞り制御
エンジンの状態に応じて,E-VRVへの出力信号を算出し,吸気絞り機構を制御します。
EGR制御
エンジンの状態に応じて,E-VRVへの出力信号を算出し,EGRバルブおよび吸気絞り機構を制御します。(参照先 エンジン−インテーク[1ND-TV] )
グローリレー制御
エンジンの状態に応じて,水温センサー出力値とバッテリー電圧から最適なグロープラグの通電時間を算出し,グローリレーを制御します。(参照先 エンジン−始動補助装置[1ND-TV] )
クーリングファン制御
水温センサー出力値に応じて,クーリングファンリレーをON・OFFします。(参照先 エンジン−クーリングファンシステム[2NZ-FE,1NZ-FE] )
エアコン & ホットガスヒーターカット制御
加速時,エアコンあるいはホットガスヒーターをカットすることにより,運転性の向上をはかります。
EGRシステム異常検出
目標吸入空気量と実吸入空気量との差からEGRバルブの故障を検出します。
過渡補正
クラッチペダルが踏まれているかどうかを検出し,ドライバビリティ確保のために過渡時の燃料噴射量を制御します。
新ダイアグノーシス
診断ツールS2000を使用し,SAE規格ダイアグコード・データの呼び出し,アクティブテストなど正確かつ詳細な故障診断を可能としました。
フェイルセーフ
各センサーの信号に異常が発生したとき,エンジンコントロールコンピューター内の標準値を利用して制御を続けるか,エンジンを停止させます。
センサー一覧
装 置
機 能
燃料噴射
レール圧
ISC
吸気絞り弁
EGR
ホットワイヤー式プラグインタイプエアフローメーター
熱線を使用し,吸入空気量を検出します。
○
 
 
○
○
吸気温センサー
エアフローメーターに内蔵され,吸入空気温度を検出します。
○
○
 
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○
水温センサー
水温を検出します。
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○
○
○
○
レール圧センサー
コモンレール内の燃料圧力を検出します。
○
○
 
 
 
アクセル開度センサー
アクセルペダルに取り付けられ,アクセル開度を検出します。
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○
○
○
クランクポジションセンサー
クランク角度によりエンジン回転数を検出します。
○
○
○
○
○
カムポジションセンサー
気筒判別および実カムシャフト角度を検出します。
○
○
○
○
○
車速信号
車速を検出します。
○
 
○
○
○
大気圧センサー
エンジンコントロールコンピューターに内蔵され,大気圧力を検出します。
○
○
 
○
○
エアコンスイッチ信号
エアコン作動スイッチを検出します。
○
 
○
 
 
MaxHotスイッチ信号
ホットガスヒーター作動スイッチを検出します。
○
 
○
 
 
PTCヒーター要求信号
PTCヒーター作動要求を検出します。
○
 
○
 
 
クラッチスイッチ
クラッチペダルのON・OFFを検出します。
○
 
 
 
 
アクチュエーター一覧
装 置
機 能
燃料噴射
レール圧
ISC
吸気絞り弁
EGR
メインリレー
システムの電源を供給します。
○
○
○
○
○
インジェクター
燃料を精密に噴射します。
○
 
○
 
 
吸入調量弁(MPROP)
コモンレールに圧送する燃料を調量し,レール圧を制御します。
○
○
 
 
 
プレッシャーレギュレーターバルブ(DRVP2)
コモンレールから排出する燃料を調量し,レール圧を制御します。
○
○
 
 
 
吸気絞り機構用E-VRV
吸気絞り機構のダイヤフラムにかかる負圧を制御します。
 
 
 
○
○
EGR用E-VRV
EGRバルブのダイヤフラムにかかる負圧を制御します。
 
 
 
 
○
グローリレー
グロープラグへの通電時間を制御します。
 
 
 
 
 
クーリングファンリレー
クーリングファンを制御します。
 
 
 
 
 

構造と作動

  1. 構 造
    1. クランクポジションセンサー(Ne信号)
      1. 検出精度の高い電磁ピックアップ式センサーを採用しました。クランク位置およびクランク角速度の検出を行います。
      2. クランクシャフトに取り付けられたクランクシャフトタイミングローターには,上死点検出用に2歯欠歯した58歯の信号歯が設けてあります。クランクポジションセンサーは,6°ごとのクランク回転信号を検出するとともに,欠歯した箇所により正確な上死点を検出することができます。クランクシャフトが回転することにより,タイミングローター突起部とクランクポジションセンサーのエアギャップが変化するためクランクポジションセンサーのコイル部を通過する磁束が増減し,コイル部に起電力が発生します。この発生電圧は,タイミングローター突起部がクランクポジションセンサーに近づく時と離れる時とでは逆向きになるため,交流電圧として現れます。
    2. カムポジションセンサー(G2信号)
      1. 検出精度の高いホール素子式センサーを採用しました。気筒判別および実カムシャフト角度の検出を行います。
      2. タイミングチェーンカバーに取り付けられており,インテークカムシャフトに固定されたカムタイミングスプロケットのG2信号検出部を,クランクシャフト2回転ごとに1回検出します。 クランクシャフトが回転することにより,G2信号検出部がカムポジションセンサーを通過する時,両者間のエアギャップが変化するため磁束密度が変化します。この変化をカムポジションセンサーのホール素子によって電圧値に変え,エンジンコントロールコンピューターに信号を送ります。

  2. 作 動
    1. 噴射時期の算出
      1. Ne・G2信号,吸気温信号,アクセル開度信号,水温信号などをもとにエンジンコントロールコンピューターが運転状態に応じた燃料噴射時期を算出し,インジェクターへ噴射信号を送ります。

燃料噴射制御

作 動

  1. 燃料噴射量制御
    1. エンジンコントロールコンピューターは,エンジンの状態(エンジン負荷,エンジン回転数等)に応じて基本燃料噴射量を算出し,各センサーからの補正を加え,燃料噴射量を最適に制御します。また,クラッチスイッチからの信号によって基本燃料噴射量を補正し,エンジンの応答性を高めています。
    2. 補正項目
      大気圧補正
      大気圧の変化にともなう空気密度の変化に応じて燃料噴射量を増・減します。
      吸気温補正
      吸入空気温度が低いときは,空気密度が高くなるため,燃料噴射量を増量します。
      冷却水温補正
      冷間始動時等,冷却水温が低いときに燃料噴射量を増量します。
      回転数補正
      エンジン回転数によって燃料噴射量を増・減します。
      過渡補正
      クラッチペダルの状態に応じて過渡時の燃料噴射料を増減します。
      吸入空気量補正
      エアフローメーター部の吸入空気量に応じて,最大燃料噴射量を増減します。

  2. パイロット噴射制御
    1. 燃料噴射を2段階に分割し,メイン噴射の前に補助的なパイロット噴射を行うことにより,メインの燃焼を緩やかに開始させ,NOxおよび振動・騒音の低減をはかりました。
    2. パイロット噴射は,圧縮行程の早い時期に行うことで燃料をあらかじめ着火させ,メイン噴射に備えます。噴射量,噴射時期およびメイン噴射とのインターバルは,エンジン状態をもとに算出し,各種センサーによる補正を加えた後決定します。
    3. メイン噴射は上死点前で行われ,あらかじめ燃焼しているパイロット燃料の作用を受け,すぐに燃焼し始めることにより,穏やかに燃焼するとともに最大燃焼圧力が抑制されます。噴射量および噴射時期は,エンジン状態をもとに算出し,各種センサーによる補正を加えた後決定します。

  3. 燃料噴射時期制御
    1. 燃料噴射量最終決定値とクランクポジションセンサーからの信号により,エンジン運転状態に応じた基本燃料噴射時期を算出し,各種センサーからの補正を加え,燃料噴射時期を最適に制御します。
    2. 補正項目
      大気圧補正
      大気圧の変化とともに空気密度が変化するため,それに合わせて燃料噴射時期を調整します。
      吸気温補正
      空気温度の変化とともに空気密度が変化するため,それに合わせて燃料噴射時期を調整します。
      冷却水温補正
      冷間始動時等,冷却水温が低いときに燃料噴射時期を早め,燃焼を最適化します。

  4. コモンレール圧力制御
    1. 燃料噴射量最終決定値とエンジン回転数をもとに目標燃料噴射圧力を算出し,レール圧センサーの検出値が目標値となるよう,サプライポンプの吸入調量弁およびコモンレールのプレッシャーレギュレーターバルブに信号を送り,コモンレール内の燃料圧力を制御します。

  5. アイドル回転数制御
    1. エンジンコントロールコンピューターからの信号によって,アイドル時のエンジン回転数が最適になるように,燃料噴射量を調整します。

  6. フューエルカット
    1. 減速時フューエルカット
      1. 減速時(エンジンコントロールコンピューターがアクセルOFFと判断時)でエンジン回転数が設定値以上のとき,燃料噴射を停止して失火による触媒加熱防止および燃費の向上をはかります。なお,冷却水温が低いときは,フューエルカットおよび復帰回転数が高くなります。
    2. エンジン回転数および車速によるフューエルカット
      1. エンジン回転数および車速が設定値以上のとき,燃料噴射を停止し,過回転を防止します。
      2. 高回転時フューエルカット回転数
        回転数 [r/min] 
        5200