エンジンメカニカル(1NZ−FE、2NZ−FE) 構造と作動

シリンダーヘッド系

構 造

  1. シリンダーヘッド
    1. 燃焼室に斜めスキッシュ構造を採用しました。圧縮行程では混合気の流れを最適化することにより着火率を向上し,燃焼行程では火炎の伝播を促進することにより燃焼効率の向上をはかりました。また,バルブまわりのマスク部を削除することにより吸入効率の向上をはかりました。
    2. 縦型の吸気ポートを採用するとともに,バルブ挟角を33.5°とし,コンパクト化と吸気効率の向上をはかりました。
    3. ウォータージャケットに集中縦流し方式を採用し,燃焼室およびスパークプラグまわりの冷却性向上をはかりました。また,冷却水下流側の澱みをなくすことにより燃焼室壁面温度の均一化をはかりました。
    4. ウォーターアウトレットおよびバイパス通路を一体化し,構成部品を低減して軽量化をはかりました。
    5. フューエルインジェクターを直接取り付ける構造とし,燃料の壁面付着を抑えてHC排出量の低減をはかりました。

シリンダーブロック系

構 造

  1. シリンダーブロック
    1. ウォーターポンプ渦室とポンプのインレット通路を一体化するとともに,シリンダーヘッドからの冷却水リターン通路,ウォーターインレットなどを集約し,軽量化とコンパクト化をはかりました。
    2. ウォータージャケットはオープンデッキタイプとし,シリンダーヘッドボルトのカウンターボアを深くしてボアの変形を抑えました。また,ボア間のウォータージャケットを極力内側まで鋳抜くことにより,ボア間の冷却性能を向上して高性能化とオイル消費量の低減をはかりました。
    3. シリンダーヘッドからのオイルリターン通路をオイルパン分割面まで延長し,オイルが直接クランクシャフトに当たらないようにしてフリクションの低減をはかりました。
    4. クランクシャフトベアリングキャップは塑性域締結とし,締結力の安定化をはかりました。
    5. リヤオイルシールリテーナーを用いずに,シリンダーブロックに直接オイルシールを圧入することにより,エンジン全長の短縮によるコンパクト化をはかりました。
    6. 後端部を朝顔形状としてトランスミッションとの結合剛性を高め,パワープラント全体の剛性を確保しました。
    7. 仕 様
       
      2NZ-FE
      1NZ-FE
      全 長     [mm]
      377.5
      ←
      全 幅     [mm]
      377.4
      ←
      全 高     [mm]
      202.0
      219.0
      ボア径     [mm]
      75.0
      ←
      ボア中心間距離 [mm]
      83.0
      ←

タイミング

バルブ系

構造と作動

  1. VVT-i(Variable Valve Timing-intelligent:連続可変バルブタイミング機構)
    1. 構 造
      1. VVT-iコントローラー
        1. インテークカムシャフトにベーン式のVVT-iコントローラーを設けました。
        2. タイミングギヤに固定のハウジング部と,カムシャフトに固定のベーン部分で構成されています。
        3. OCV(オイルコントロールバルブ)からの油圧をVVT-iコントローラーの進角室および遅角室に作用させることにより,ベーン部を回転させ,インテークカムシャフトの位相を連続的に可変させます。
        4. エンジン停止時には,ロックピンによって最遅角状態で固定されます。エンジンが始動すると,油圧によりロックピンは解除されます。
      2. OCV(オイルコントロールバルブ)
        1. ECUからのデューティー信号によりスプール弁の位置を制御することにより,VVT-iコントローラーの進角室および遅角室へのオイル供給を調整します。
    2. 作 動
      1. 進角時
        1. OCVのスプール弁が左側に移動し,VVT-iコントローラー進角室に油圧がかかり,インテークカムシャフトは進角方向へ移動します。
      2. 遅角時
        1. OCVのスプール弁が右側へ移動し,VVT-iコントローラー遅角室に油圧がかかり,インテークカムシャフトは遅角方向へ移動します。
      3. 保持時
        1. VVT-iコントローラーの進角室および遅角室の油圧はそのまま保持され,インテークカムシャフトの位相も保持されます。
    3. 効 果
      1. 連続してカムシャフトの位相を可変させ,運転状態に応じてバルブタイミングを調整することにより,低燃費と高出力および低エミッションの両立をはかっています。

ピストン・クランク系

構 造

  1. ピストン
    1. ピストン頂面には吸入・燃焼効率の高い斜めスキッシュ構造を採用するとともに,燃焼室形状を楕円形として燃焼性能の向上をはかりました。また,ショートスカートタイプとし,フリクションの低減をはかりました。
    2. ピストンリング位置の最適化をはかり,クレビス容量(燃焼時に温度が上がりにくく,HCの発生しやすい部分)の縮小をはかりました。
    3. ピストンリングの薄厚化によりピストン全高を抑え,大幅な軽量化をはかるとともに,ピストンリング張力の最適化により,フリクションの低減をはかりました。
    4. オイルリングのサイドレール表面に窒化処理を施し,耐久性および信頼性を確保しました。
    5. ピストン仕様(2NZ-FE・1NZ-FE共通)
      材 質
      アルミ合金
      基本径 [mm]
      74.94
      全 高 [mm]
      49.7
      ピン穴オフセット[mm]
      0.5
      ピストン・ピストンピン仕様(2NZ-FE・1NZ-FE共通)
      材 質   
      クロム鋼
      外 径   [mm]
      18.0
      内 径   [mm]
      11.5
      長 さ   [mm]
      53.0
      ピストンリング仕様(2NZ-FEカッコ内は1NZ-FE)
       
      コンプレッションリングNo.1
      コンプレッションリングNo.2
      オイルリング
      材 質     
      ステンレス
      ねずみ鋳鉄
      ステンレス
      形 状     
      バレル
      テーパー+アンダーカット
      組み合わせ
       幅      [mm]
      1.2
      ←
      2.0
      厚 さ     [mm]
      2.5
      2.8
      2.5(2.55)
      表面処理    
      窒化処理
      パーカライジング(亜鉛系リン酸塩被膜)
      窒化処理

  2. オフセットクランク
    1. シリンダーボア中心線に対してクランクシャフト中心線を12mmずらして配置しました。クランクシャフトをオフセットし,ピストンサイドフォースの低減によりフリクションロスを低減するとともにピストンスピードの変化により熱効率を改善し,低燃費化をはかりました。
      1. ピストンサイドフォースの低減
        1. 最大燃焼圧力をクランクシャフトに効率よく伝達するとともに,燃焼行程中にピストンにかかるスラスト方向の力を小さくしフリクションロスの低減をはかります。
      2. ピストンスピードの変化
        1. 燃焼行程の前半にピストンスピードが遅くなる領域が発生します(図1)。この結果,ピストンが上死点により近い位置で燃焼が行われるため,燃焼圧力が高くなり熱効率を改善します(図2)。

その他のエンジン部品

構造と作動

  1. 補機レイアウト
    1. 各補機用のブラケットをエンジン本体と一体化することにより,取り付け剛性の向上と小型・軽量化をはかりました。
    2. 仕 様(2NZ-FE・1NZ-FE共通)
       
      プーリー径 [mm]
      クランクシャフトプーリー(オルタネーター駆動側) 
      157
      クランクシャフトプーリー(P/Sポンプ駆動側)   
      140
      エアコンコンプレッサープーリー    
      120
      ウォーターポンププーリー       
      120(背面駆動)
      オルタネータープーリー
      60
      P/Sポンププーリー         
      133
      Vリブドベルト仕様(2NZ-FE・1NZ-FE共通)
       
      オルタネーター駆動用ベルト
      P/Sポンプ駆動用ベルト
      トランスミッション
      M/T車・A/T車
      M/T車
      A/T車
      エアコン
      有り
      無し
      −
      −
      幅      [mm]
      14.24
      ←
      10.68
      ←
      長 さ    [mm]
      1220
      920
      870
      ←
      リブ数    
      4
      ←
      3
      ←

  2. ブローバイガス還元装置
    1. HCを大量に含むブローバイガスを強制的に吸気系に導入して再燃焼させ,エミッション性能の向上をはかります。運転状態に応じたブローバイガス還元量に制御することにより,オイル持ち去り量の低減,アイドリングの低回転化をはかりました。
    2. PCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブ側の通路はインテークマニホールドの負圧に応じ,スロットルバルブ下流へブローバイガスを還元します。
    3. シリンダーヘッドカバーからスロットルバルブ上流への通路は,軽負荷時には新気を導入してクランクケース内の空気浄化性を高め,高負荷時にはインテークマニホールドの負圧により,PCV側の通路と合わせてブローバイガスを還元します。

  3. エンジンマウンティング
    1. 3点支持としました。
    2. ライトマウンティングを前方に支持することで,3点のマウンティングで形成する面とパワープラント重心位置を極力近づけ,アイドリング時およびクランキング時の振動の抑制をはかりました。