ECU制御システムのトラブルシューティングの方法(1NZ-FNE)  トラブルシューティングの進め方



診断の基本手順説明

□ 参 考 □
下記の診断手順に従いトラブルシューティングを実施する。ここでは基本的な手順のみを示す。詳しくはトラブルシューティングセクションに回路ごとの最も効果的な方法を記載する。該当回路のトラブルシューティングを始める前にトラブルシューティング手順を最初に確認する。




手順1不具合車両入庫



    .
    次の手順へ

    手順2顧客からの問診および不具合分析

    1. 不具合が発生したときの状態および状況を顧客に聞き、問診表などに記入する。

    2. 下記の項目を重点的に問診表に記入する。

      □ 参 考 □
      1. 何が-車両型式、システム名
      2. いつ-日時、頻度
      3. どこ-進路状況
      4. 状況-走行状態、天気
      5. どのようにして起きたか?-不具合現象



    .
    次の手順へ

    手順3不具合現象確認およびダイアグコード(含むフリーズフレームデータ)点検

    1. SST(トヨタエレクトリカルテスター)を使用して、バッテリー電圧を点検する。

      基準値:
      10-14V(エンジン停止時)

    2. SST
      09082-00030  
    3. ヒューズ切れ、ワイヤハーネス断線、短絡、コネクターの接続不良など目視で確認できる箇所の点検を行う。

    4. エンジンを十分に暖機する。

    5. 不具合現象および状態を確認し、該当するチャートおよびSSTに従ってダイアグコードを点検する。

    6. SST
      09991-60101  
      09991-60300  


    .
    コードなしまたは不具合現象確認(手順5へ)

    .
    コードあり(手順4へ)

    手順4ダイアグコード表

    1. 手順3の結果を確認し、ダイアグコード一覧表を使用してシステムの点検手順を確認またはどの部分を点検するべきかを確認する。



    .
    手順6へ

    手順5症状別一覧

    1. 手順3の結果を確認し、症状別一覧を使用してシステムの点検手順を確認またはどの部品を点検するべきか確認する。



    .
    次の手順へ

    手順6回路点検または部品点検

    1. 手順4および手順5の結果を使用してシステムの回路またはどの部品を点検するべきか確認する。



    .
    次の手順へ

    手順7不具合箇所の修理

    1. 手順6の指示に従い、不具合の起きているシステムまたは部分を修理する。



    .
    次の手順へ

    手順8確認テスト

    1. 修理終了後、不具合が解消されているか確認すること。(不具合が再現する場合は、最初に不具合が発生した時と同じ環境、状態で確認テストを行う。)





    OK


    問診表からの不具合分析


    1. トラブルシューティング時は不具合現象を正確に確認し、正確な判断をする為にも先入観はもたないこと。不具合現象を確認するために、不具合が発生した時の状況を顧客に尋ねることが大変重要になる。


      1. 下記の5項目は不具合分析をする上で大切な点である。過去に起きた関係ないと思われるような不具合や修理履歴など時には役立つ場合もあるので、出来るだけ多く集めた情報を各診断セクションに記載してある問診表に記入し、不具合現象との関係を正確に把握することがトラブルシューティングをする上で必要である。
        1. 何が-車両型式、システム名
        2. いつ-日時、頻度
        3. どこ-進路状況
        4. 状況-走行状態、天気

        5. どのようにして起きたか?-不具合現象


          A030401


        不具合症状確認とDTC点検

        □ 参 考 □
        1. 診断システムには様々な機能がある。最初の機能として、ECUへの信号回路内で不具合が発生するとECUメモリーにコードで記憶し、ダイアグコードとして出力される。これらのチェック機能を駆使し、不具合が起きている範囲を素早く絞り込み、トラブルシューティングを効果的に行うことができ,下記のシステムに診断機能が組み込まれている。



        システム
        ダイアグコードチェック
        テストモード(チェックモード)
        アクティブテスト
        EFIシステム〔1NZ-FE〕
        ○
        ○
        ○
        EFIシステム〔2NZ-FE〕
        ○
        ○
        ○
        ECDシステム〔1ND-TV〕
        ○

        ○
        EFIシステム〔1NZ-FNE〕
        ○
        ○
        ○
        EBD付きABSシステム
        ○
        ○
        ○
        電子制御式オートマチツクトランスアクスル(ECT)
        ○

        ○
        SRSエアバッグ & プリテンショナー付きシートベルトシステム
        ○



        1. ダイアグコード点検では、ダイアグコードにより示されている不具合がまだ発生しているのか、過去に発生したが今は正常に戻っているのかを判断することが大変重要である。またダイアグコードにより示されている不具合が不具合現象に直接関係があるのかどうかを不具合現象点検で確認することが必要になる。この理由から、現在の状況を判断するためにダイアグコードを不具合現象の確認前後に点検することが必要である。これを怠ると、場合によっては正常な作動システムにも関わらず不必要なトラブルシューティングを行うことになり、不具合がどこにあるのか見つけるのが困難になり不具合に関係ない修理を行うことになる。そのため常に正しい作業手順でダイアグコードを点検する必要がある。
        2. 下記にダイアグコード点検を使用したトラブルシューティングがどのように進むかをフローチャートで示す。このフローチャートはダイアグコード点検を効果的に活用する方法を示しており、下記のチャートに従い点検することによりダイアグコードのトラブルシューティングまたは症状別現象一覧のトラブルシューティングへと進む方法を示している。



        手順1ダイアグコード確認



          .
          次の手順へ

          手順2表示されているダイアグコードをメモにとりコード表示を消す。



            .
            次の手順へ

            手順3不具合現象およびウォーニングランプの確認


              A
              不具合発生またはウォーニングランプ表示(点滅または点灯)
              B
              不具合未発生


            A.
            手順5へ

            B.
            次の手順へ

            手順4不具合シミュレーション方法を用い、シミュレーションテストを行う。



              .
              次の手順へ

              手順5ダイアグコード点検

                □ 参 考 □
                ダイアグコードが初回のダイアグコード点検のみ表示された場合の不具合は、診断回路以外の場所で発生している。(初回に表示したダイアグコードは過去に起きた不具合かまたは二次的な不具合である。)


                A
                正常なコードの表示
                B
                ダイアグコード表示


              A.
              手順6へ



              ダイアグコード一覧により表示されている項目のトラブルシューティング実施


              手順6不具合症状の点検


                A
                不具合発生
                B
                不具合未発生


              B.
              システム正常



              症状別一覧により表示されている項目のトラブルシューティング実施


              不具合シミュレーション

              □ 参 考 □
              トラブルシューティングで最も難しいのは不具合現象が現れないことである。そのような場合は、顧客からの不具合分析を徹底的に行う必要があり、顧客の車両で不具合が発生したときと同様な状況·環境で再現する必要がある。不具合現象を確認せずにトラブルシューティングを実施すると、修理作業において重要な点を見逃すことになったり、勘違いをして結局行き詰まる事になる。例えば、エンジンが冷えている状態で起きた不具合または運転中道路状況に起因して振動が発生した不具合について、エンジンが熱い状態または車両が停止している状態で確認する限り、不具合がどこにあるかは決して特定できない。振動、熱または水(湿度)による侵入などは再現性のない不具合の原因であるが、ここで紹介する不具合現象再現手法は停止状態の車両に外的要因を与えるという点で効果的な方法である。
              不具合シミュレーションテストの重要な点:不具合現象再現手法では不具合現象はもちろん確認するべきであるが、不具合の範囲·部位もまた見つけ出す必要がある。これらを行うため、テストを実施する前に不具合現象に基づき不具合を含んでいる回路を絞り込み事前にテスターを接続しておく。その後、不具合再現手法を実施し、テスト中の回路が不良か正常かを判断して同時に不具合現象を確認する。不具合現象の原因を絞り込むには、システム毎の不具合現象一覧表を参考にする。



              1. 加振法:振動により不具合が発生すると思われる場合


                1. 部品とセンサー




                  1. D020016
                  2. 推定原因系の部品に手で軽く叩くなどの振動を与え、不具合の発生がないか点検する。

                    □ 参 考 □
                    リレー類は強い衝撃を与えるとポイントが開くことがある。

                2. コネクター


                  1. コネクターを軽く上下、左右にゆする。

                3. ワイヤハーネス


                  1. ワイヤハーネスを軽く上下、左右にゆすり、不具合の発生がないか点検する。(特にワイヤハーネスではコネクターの付け根、振動の支点、ボデーの貫通部を重点的にチェックする。)



                1. 冷熱法:冷間時または温間時に不具合が発生すると思われる場合


                    D020021
                  1. ヘアドライヤーまたは冷却剤を用いて、推定不具合系の部品を加熱または冷却し、不具合の発生がないか点検する。

                    ■ 注 意 ■
                    1. 加熱する場合は、+60℃(手でさわれる程度)以上にしない。
                    2. ECU等のフタを開けて直接電子部品を加熱、冷却しない。

                    □ 参 考 □
                    冷却剤は電子部品販売店で入手できる。



                  1. 水かけ法:雨天または高温時に不具合が発生すると思われる場合


                      D020022
                    1. 車両に水をかけ不具合の発生がないか点検する。

                      ■ 注 意 ■
                      1. エンジンルームには直接水をかけないで、ラジエーター前面に霧吹き状に吹き付け、間接的に温度、湿度を変える。
                      2. 電子部品に直接水をかけない。



                    1. その他:電気的負荷が過剰な時に不具合が発生すると思われる場合
                      1. ヒータブロワ、ヘッドランプ、リヤデフォッガなどの電気部品を作動させて電気的負荷を上げ、不具合の発生がないか点検する。


                      ダイアグコード一覧

                      このダイアグコード一覧により、ダイアグコード点検に表示されているダイアグコードを使用し、正確で効果的なトラブルシューティングを実施することが可能である。表示されているダイアグコードに該当する診断表の点検手順に基づきトラブルシューティングを実施すること。EFIシステムのダイアグコード一覧を以下に一例として示す。


                      D027692


                      症状別一覧

                      それぞれの不具合現象に対して推定される不具合回路と部品を下記の表に示す。正常なコードがダイアグコード点検に表示されるが、まだ不具合が存在している時に、この表を使用しトラブルシューティングを実施する。不具合推定箇所は点検すべき回路または部品の点検項目を示す。EFIシステムの症状別一覧を以下に一例として示す。

                      □ 参 考 □
                      不具合現象があるにも関わらず診断システムにより不具合が検知されない場合は、診断システムの検知範囲外のところに不具合が発生、または診断システム以外のシステムに不具合が発生していると考えられる。

                      D027693


                      DTC系統別点検フロー

                      各ページの読み方と使い方を下記に示す。
                      1. トラブルシューティングは、DTC、系統別、症状別毎に手順を示しており、不具合状態を診断し、原因を究明しやすくしている。

                      2. トラブルシューティングの要領は、「DTC」、「回路説明」、「検出条件」、「回路図」、「点検手順」としてまとめて掲載した。


                        D031160