CVTフルード(K411)  調整

準備品一覧



1. 作業前注意
  1. K411はオイルフィラチューブおよびオイルレベルゲージが無いため、フルード注入はトランスアクスルケースのリフィルプラグ孔から行い、フルード量調整はオイルパンのオーバーフローチューブから余剰分のフルードを排出(オーバーフロー)させることで行う。

    □ 参 考 □
    オーバーフローとは、オーバーフロー孔よりフルードが流出する状態を表す。

  2. フルード補充は、フルード温度が常温まで下がった状態にて、必要量を補充し、エンジンを暖機運転してアクスル内にフルードを循環させた後、規定油温およびエンジンアイドリング状態で調整を行う必要がある。

  3. 注入するフルードはトヨタ純正CVTフルードFEを使用する。

  4. フルード調整作業は、車両水平設置状態に対して、車両前後左右傾斜は±1°以内で行う。

  5. エアコン、ヘッドライト、電動ファン等の電気負荷となるものは、OFF状態で行う。

  6. 本文中のフルード温度は、GTSにて表示されるフルード油温(V/B内油温)を示す。



  7. 作業は各手順および注意事項に従い実施する。


    C202513J05



2. 作業フロー





C315791J01



3. 準備作業

■ 注 意 ■
トランスアクスル(フルード油温)が高温の場合は、常温(周囲の外気温以下)に下がるまで待機した後、作業を開始する。(実施推奨フルード油温: 20°C前後)

  1. 車両を水平状態に保ちリフトアップする。

    ■ 注 意 ■
    車両が傾斜していると正確なフルード量が測定できないため、車両前後左右傾斜 ± 1°以内で作業する。

  2. エンジンアンダ カバー LHを取りはずす。(要領は参照)



4. 初期補充

■ 注 意 ■
以下の作業実施後は初期補充作業を行う必要がないため、規定量補充に進む。(手順5)
初期補充の必要のない作業
オイル漏れ、にじみ等の修理をした時



    C219035
  1. リフィルプラグおよびガスケットをコンティニュアスリバリアブル トランスアクスルASSY から取りはずす。



  2. C219032
  3. ソケットヘキサゴンレンチ6 mmを使用して、オーバーフロープラグおよびガスケットをトランスアクスルオイルパン SUB-ASSY から取りはずす。

    ■ 注 意 ■
    1. オーバーフロープラグの取りはずしによりフルードが排出された場合は、フルード量が滴下状態になるまで待つ。
    2. フルードが排出された場合、初期補充は不要のため、オーバーフローチューブの締め付けトルクを確認後、初期補充を行わずにオーバーフロープラグ仮締めを行う。



  4. C288106J01
  5. ソケットヘキサゴンレンチ6 mmおよびトルクレンチを使用して、オーバーフローチューブが規定トルクで締め付けられていることを確認する。
    イラスト内指示文字 
    *1
    オーバーフローチューブ

    基準値
    T = 0.8 N・m{ 8.2 kgf・cm }

    ■ 注 意 ■
    オーバーフローチューブが規定トルクで締め付けられていない場合、フルード量調整が正確に行えない。

    □ 参 考 □
    ソケットヘキサゴンレンチ6 mmをオーバーフロープラグホール内に差し込み、締め付けトルクを点検する。

  6. 初期補充を行う。



      C219037
    1. フルードがオーバーフロー孔から流出し始めるまでフルードをリフィル孔から注入する。

      ■ 注 意 ■
      注入するフルードはトヨタ純正 CVTフルードFEを使用する。



  7. C219034
  8. フルードの流出が、滴下状態になるまで待機する。



  9. C219032
  10. ソケットヘキサゴンレンチ6 mmを使用して、ガスケットを介し、オーバーフロープラグをトランスアクスルオイルパンSUB-ASSY に仮締めする。

    □ 参 考 □
    ガスケット交換および本締めは、フルード量調整後に行う。



  11. C219035
  12. ガスケットを介して、リフィルプラグをコンティニュアスリバリアブル トランスアクスルASSY に仮締めする。

    □ 参 考 □
    ガスケット交換および本締めは、フルード量調整後に行う。



5. 規定量補充


    C219035
  1. リフィルプラグおよびガスケットをコンティニュアスリバリアブル トランスアクスルASSY から取りはずす。



  2. C219036
  3. フルードをリフィル孔より、規定量補充する。

    ■ 注 意 ■
    注入するフルードはトヨタ純正CVTフルードFEを使用する。

    □ 参 考 □
    フルード補充量は関連作業により異なる。


    実施作業
    補充量(参考)
    1. コンティニュアスリバリアブル トランスアクスルASSY交換時(新品トルクコンバータ使用時)
    3.4L
    1. コンティニュアスリバリアブル トランスアクスルASSY交換時(トルクコンバータ再使用時)
    2.7L
    1. トルクコンバータ脱着時
    2.7L
    1. トランスアクスルオイルパンSUB-ASSY脱着時(オイルドレーンを含む)
    2. フロントドライブシャフトASSY脱着時
    3. オイルシール交換時
    4. トランスミッションオイルクーラ脱着時
    5. CVTフルード交換時
    2.6L
    1. オイル漏れ、にじみなどの修理をしたとき
    0.4L



  4. C219035
  5. ガスケットを介して、リフィルプラグをコンティニュアスリバリアブル トランスアクスルASSY に仮締めする。

    □ 参 考 □
    ガスケット交換および本締めは、フルード量調整後に行う。

  6. 車両をリフトダウンする。



6. フルード温度調整
  1. GTSを使用する場合

    1. IG OFFで、GTSをDLC3に接続する。

    2. IG ONおよびGTSの電源をONにする。

    3. GTS のメニュー画面より、パワートレイン / エンジン / アクティブテストの順番に選択し、AT 油温1 を表示させた状態 で、TC 端子ON を選択、実行する。

      □ 参 考 □
      GTSを使用することで、AT油温センサ値をモニターしながらフルード温度の調整が行える。

  2. GTS を使用しない場合(TC端子短絡時)



      H100769J54
    1. IG OFFで、SSTを使用してDLC3内の13(TC) - 4(CG)端子間を短絡する。

      SST
      09843-18040  

  3. ブレーキペダルを踏み込み、保持する。

  4. エンジンを始動する。

    ■ 注 意 ■
    エアコン、オーディオ、灯火スイッチなど、電気部品をOFFにする。

  5. シフトレバーをPポジションからDポジションまでゆっくり操作してフルードを各部に循環させた後、再びPポジションにシフトする。

    □ 参 考 □
    各ポジションは3秒程度保持する。



  6. C311289J01
  7. メータ内のシフトポジションインジケータ表示を注視しながら、シフトレバーを1.5秒以内にN ←→ Dポジションへ繰り返し操作することを6秒以上連続して行う。
    イラスト内指示文字 
    *a
    シフトポジション
    *b
    シフトポジションインジケータ
    *c
    油温検出モード
    *d
    6 秒以上
    *e
    2 秒間
    *f
    1.5 秒以内

    □ 参 考 □
    N → D → N操作を1.5秒以内の間隔で6秒以上実施することにより油温検出モードに移行する。



  8. C309666
  9. シフトポジションインジケータの[D]表示が2秒間点灯後、消灯することを確認する。

    □ 参 考 □
    1. シフトポジションインジケータ[D]の2秒間の点灯は、油温検出モードへの移行完了を表す。
    2. シフトポジションインジケータ[D]の2秒間の点灯が確認できない場合は、TC端子ONから作業をやり直す。

  10. シフトレバーをPポジションにシフトする。

  11. ブレーキペダルを開放する。

  12. GTSを使用する場合

    1. GTSを操作し、TC端子“ON”→“OFF”にする。

      ■ 注 意 ■
      TC端子を開放しないとエンジン回転数の変動により正確なフルードレベル調整ができないため、必ず開放する。

      □ 参 考 □
      1. TC端子開放によりエンジン回転数制御モードに移行する。
      2. エンジン回転数制御は、フルード温35°C以上で制御を開始する。
      3. TC端子開放後も油温検出モードはIG OFFまで継続される。

  13. GTS を使用しない場合(TC端子短絡時)

    1. SST をはずし、DLC3 の13(TC) - 4(CG)端子間を開放する。

      ■ 注 意 ■
      TC端子を開放しないとエンジン回転数の変動により正確なフルードレベル調整ができないため、必ず開放する。

      □ 参 考 □
      1. TC端子開放によりエンジン回転数制御モードに移行する。
      2. エンジン回転数制御は、フルード温度35°C以上で制御を開始する。
      3. TC端子開放後も油温検出モードはIG OFFまで継続される。

  14. フルード温度をフルード量調整作業における適正温度に調整する。

    1. シフトポジションインジケータによりフルード温度を確認する。

      □ 参 考 □
      1. 油温検出モード中、シフトポジションインジケータの[D]表示はフルード温度によって点灯、消灯、点滅のいずれかを表示する。
      2. フルード補充作業は、シフトポジションインジケータ[D]表示点灯(フルード温度35°C to 45°C)中に行う。

    2. フルード温度を調整する。

      □ 参 考 □
      フルード量調整は、シフトポジションインジケータ[D]点灯時に行う。
      1. シフトポジションインジケータ[D]表示消灯の場合、シフトポジションインジケータ[D]表示点灯になるまでエンジン回転数制御状態で暖機する。
      2. シフトポジションインジケータ[D]表示点灯の場合、すぐにフルード量調整作業を開始する。
      3. シフトポジションインジケータ[D]表示点滅の場合、フルードを冷やすためにエンジンを停止し、フルード温度が適正油温以下に下がったことを確認した後、再度フルード温度調整作業を行う。


      シフトポジションインジケータ[D]表示


      適正油温以下
      適正油温
      適正油温以上
      フルード温度
      GTS表示油温
      35°C未満
      35°C以上
      45°C未満
      45°C以上
      シフトポジションインジケータ[D]表示
      消灯
      点灯
      点滅



7. フルード量確認

■ 警 告 ■
フルード高油温、エンジンアイドリング回転中およびラジエータファン回転中のため、充分に注意して作業を行う。

  1. 車両を水平状態に保ちリフトアップする。

    □ 参 考 □
    車両が傾斜していると正確なフルード量が測定できないため、車両前後左右傾斜 ± 1°以内で作業する。



  2. C219032
  3. ソケットヘキサゴンレンチ6 mm を使用して、オーバーフロープラグおよびガスケットを取りはずす。

    ■ 注 意 ■
    排出されるフルードは高温のため注意する。

  4. オーバーフロー孔からのフルード流出状態を確認する。

    ■ 注 意 ■
    流出したフルード量が少ない場合(約5cc)は、オーバーフローチューブ内に溜まったフルードが排出しただけの可能性があるため、オーバーフローしていない(フルード再補充が必要)と判断する。


    1. フルードが排出された場合。(フルードが排出された場合へ)

    2. フルードが排出されなかった場合。(フルードが排出されなかった場合へ)

  5. フルードが排出されなかった場合。

    1. フルードが排出されなかった場合は、リフィルプラグおよびガスケットを取りはずし、オーバーフロー孔からフルードが排出されるまでフルードをリフィル孔から注入する。

      ■ 注 意 ■
      注入するフルードはトヨタ純正CVTフルードFEを使用する。

  6. フルードが排出された場合。

    1. フルードがオーバーフローした場合は、フルードの流出が滴下状態になるまで待機する。

      □ 参 考 □
      フルードは油温上昇により膨張するため、フルードの流出が完全に停止することはない。



  7. C219032
  8. ソケットヘキサゴンレンチ6 mm を使用して、新品のガスケットを介して、オーバーフロープラグをトランスアクスルオイル パンSUB-ASSYに本締めする。

    基準値
    T = 40 N・m{ 408 kgf・cm }



  9. C219035
  10. 新品のガスケットを介して、リフィルプラグをコンティニュアスリバリアブル トランスアクスルASSYに本締めする。

    基準値
    T = 49 N・m{ 500 kgf・cm }

  11. 車両をリフトダウンする。

  12. IG OFFにする。

  13. GTSを取りはずす。(GTSを使用する場合)



8. ATF(CVTフルード)熱劣化推定値初期化

□ 参 考 □
トランスアクスルの修理などで、CVTフルード全油量の約50%以上を交換したときは、[ATF熱劣化推定値初期化]を行う。(要領は参照)



9. 復元作業
  1. 車両をリフトアップする。

  2. エンジンアンダ カバー LHを取り付ける。(要領は参照)

  3. 車両をリフトダウンする。

  4. 作業完了。